キャブコンなどのキャンピングカーには、家の部屋についているのと同じ家庭用の壁掛けエアコンがついていることが多いです。今年の夏も「最近冷えなくなってきた…」という声をよく聞きました。
そこで今回は、車中泊仲間のタルパパさんのキャンピングカー(レガード)にお邪魔して、納車から9年間、一度も洗浄していない家庭用エアコンを分解して高圧洗浄させてもらいました。私は普段、家庭用エアコンの洗浄を仕事にしています。その道具と手順をそのまま車載のエアコンに使ったら、本当に冷えるようになるのかを確かめています。
結論から言うと、組み上げて10分ほど試運転したところで、洗浄前より冷たい風が出るようになりました。オーナーのタルパパさんの感想は「劇的とはちょっと言えないけど、今日来た時よりは確実に涼しい」。キャンピングカーのエアコンも家庭用と同じ手順で洗えます。ただし、車ならではの注意点もはっきり見えました。
夏が終わってエアコンを使わなくなった今は、来年の夏に向けてメンテナンスを考えるのにちょうどいい時期です。「うちのキャンピングカーのエアコン、最近効きが悪いな」と感じていた方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- キャンピングカーについている家庭用エアコンは、洗えるのか
- 9年分の汚れを洗ったら、本当に冷えるようになったのか
- エアコン洗浄の費用の相場と、業者に頼むときの注意点
- 洗っても冷えないときに考える「次の順番」

今回のキャンピングカーとエアコン
今回のレガードは大型のキャブコンです。後ろのシェル部分は、2段ベッドにマルチルーム、対面ダイネットという作りになっていて、エアコンはシェルの中の壁の高い位置についています。

エアコンは東芝の家庭用エアコン。レガードは9年ほど前に納車されていて、そのあいだエアコン洗浄は一度もしていないそうです。
タルパパさんからは「最近冷えないんだよね」と聞いていました。実際に私も作業の前に風を体感してみたんですが、これではちょっと夏は越せないなと思うくらいの風量というか、冷たさでした。
もし洗って冷えるようになれば、熱交換器が汚れていて熱交換の効率が落ちていた、ということで済みます。洗っても冷えなければ、エアコンを買い替えるか、ガスを入れるかを考えないといけません。今回はまず洗浄だけをして、様子を見ることにしました。
まずはエアコンの前をふさいでいる物を外す
キャンピングカーのエアコンは、家のエアコンと違ってまわりに物が多いのが特徴です。このレガードも、エアコンのすぐ前にサーキュレーターがついていて、吹き出し口の下には風よけ板がつけてありました。

この風よけ板は、買った当時は風が寒すぎたので付けたものだそうです。9年前はそれくらいよく冷えていた、ということですね。どちらも洗浄の邪魔になるので、まずはこの2つを外します。
キャンピングカーによっては、架装のときにエアコンに化粧パネルをつけたり、まわりに棚を置いたりして、ギチギチに組み込まれていることもあります。このレガードは、一部を外すだけで作業できそうでした。

ここまで外すと、ほぼ家に取り付けてある状態と同じです。ここから先は、家庭用エアコンの洗浄と同じ手順で進めていきます。
エアコンが冷えなくなる仕組み
棚とフェイスパネルを外すと、エアコンの心臓部であるアルミフィン(熱交換器)が出てきます。高圧洗浄をかけるのは、この部分です。

電気屋さんならここからさらに分解しますが、私はエアコンのメンテナンス屋なので、この状態のまま洗います。

仕組みをかんたんに説明しておきます。
- 部屋(シェル内)の空気をエアコンが吸い込む
- アルミフィンがめちゃくちゃ冷たくなっていて、吸い込んだ空気を一気に冷やす。ここで結露するので、カビができやすい
- 冷やされた空気をシロッコファンが回して送り出すので、冷たい風が出てくる
- あたたかい空気(熱)は銅管を通って熱交換され、下にある室外機のほうへ運ばれる
これが家庭用エアコンの仕組みです。車中泊で使う12Vクーラーもまったく同じ仕組みなので、この記事の考え方はそのまま当てはまります。エアコンの種類ごとの冷え方の違いは、車中泊向けエアコンを「冷える順」と「設置しやすい順」で比べた記事でも解説しています。
つまり、アルミフィン(熱交換器)が汚れていると、空気をうまく冷やせない。これが「冷えない」の大きな原因のひとつです。
風の吹き出し口のまわりにも、カビとホコリ
シロッコファンのまわりをのぞいてみると、カビやホコリがいっぱい付いていました。指でさわると、手がけっこう黒くなります。これは全部、ホコリとカビです。

キャンピングカーで過ごしていると空間が狭いので、家に比べて汚れがたまるのは早いんじゃないかと思います。ただ、家のエアコンほど毎日使うわけではないので、家庭用エアコンほどの汚れではありませんでした。
それでも9年分です。9年乗っているオーナーさんなら、エアコンの入れ替えを考える前に、一度洗浄を試してみるのもいいと思います。
キャンピングカーのエアコン洗浄、費用の相場は?
料金の目安もお伝えしておきます。今回のような、お掃除ロボット機能の付いていないノーマルの家庭用エアコンの場合です(2026年8月時点)。
- ダスキン、おそうじ本舗:1万5千円ほど
- くらしのマーケット:1万円ほどでやってくれるところもある
ただし、「キャンピングカーについているんです」とお願いすると、ドン引きされる可能性があるのが正直なところです。キャンピングカーのエアコンは、構造を理解した業者でないと受けにくく、断られることもあると思っておいてください。頼む場合も、自己責任の同意が前提になります。

私の場合は、車中泊系YouTuberとしてキャンピングカーの事情も分かっているので、自己責任でお願いしますという前提で、引き受けることはできます。
車載でいちばん大事なのは「養生」
家のエアコンを洗うときは、床と壁を守れば済みます。ところがキャンピングカーは、エアコンの真下に寝具も家具も荷物もある。洗浄液や汚水を漏らしたら、車内がまるごと水浸しです。

なので、エアコン用の養生ホッパーをつけて、洗浄液と汚水の通り道をしっかり作ってから洗います。清掃会社やメンテナンス会社にエアコン洗浄を頼むと、だいたいこの形で作業します。
ちなみに、電気屋さんに分解してもらう場合は、ドレンホースを使わずに部品をバラバラにして、外で水洗いするやり方になります。家のエアコン洗浄でも、洗った水はドレンホースを通って外に出ていきます。

専用洗剤→エアコン専用の高圧洗浄機で洗う
養生ができたら、まずは専用の洗剤をアルミフィンに吹き付けて、中にたまった汚れを浮かせます。


洗剤をまき終わったら、いよいよ高圧洗浄です。使うのはエアコン専用の高圧洗浄機。アルミフィンを貫通して、しっかり中まで洗えるタイプです。


洗剤をかけたあとに高圧洗浄をしっかり打つことで、汚れがかなり落ちてきます。落ちた汚れは、養生ホッパーからつないだダクトを通って、下で受けるようにしています。
これが9年分の汚れ

流れてきた水は、この通りです。カビやホコリ、長年降り積もった汚れが一気に出てきました。
汚れというと風を送り出すファンのあたりに目が行きがちなんですが、本命はアルミフィンの中です。この中が汚れているから、冷えないという状況になるんですね。エアコンの心臓部の熱交換器を洗ってあげたので、かなりきれいになったと思います。
組み上げて、10分以上試運転
洗い終わったら、元通りに組み上げます。ドレン(排水)の経路の確認も忘れずに。

無事に電源が入って、ファンも回り出しました。ここから10分以上試運転して、冷たい風が出るようになったかを確認します。

結果:洗浄前より冷たい風が出るようになった
10分ほど試運転したところで、エアコン洗浄前よりは冷たい風が出るようになりました。熱交換器の中を洗浄したことで、熱交換の効率がよくなったからです。

オーナーのタルパパさんにも感想を聞いてみました。
- 前に比べて、涼しくなっている
- 劇的とはちょっと言えない。新車の頃がどうだったかは、9年前なので忘れた
- ただ、今日来た時よりは確実に涼しい
「どうしようかずっと悩んでいたので、これでいったん解決」とも言ってもらえました。ただ、今回確認できたのは10分ほどの試運転までです。このあとご家族で実際に使ってみて、冷えが悪いようなら、次のステップを考えることにしました。
洗っても冷えないときは、ガスを疑う
洗浄で冷たい風は出るようになりましたが、もうひとつ気にしておきたいのが冷媒ガスです。9年も経っていると、冷媒ガスが抜けている可能性もあります。
一般の家のエアコンは、ずっと据え置きです。室外機もガタガタ揺れたりしません。ところがキャンピングカーは、移動するたびに揺れや振動が必ず起こるので、ガス漏れの可能性もなきにしもあらずだと思います。
そのあたりは、お持ちの車のビルダーさんに相談されるのがいいと思います。私はエアコン洗浄の専門ですが、横のつながりでガスを入れる(真空引きする)こともできるので、タルパパさんから依頼があればやってみようと思っています。

キャンピングカーのエアコンが冷えないと感じたら、この順番で考えるのがおすすめです。
- 1. まず洗浄:熱交換器の汚れを先に疑う
- 2. 次にガス点検:9年も経てば冷媒が抜けることもある
- 3. それでもダメなら買い替え:洗浄とガス点検をやってから判断する
洗浄で改善する部分も多いので、いきなり買い替えを考える前に、まずは一度洗ってみて体感してみるのがいいと思います。
まとめ|キャンピングカーの家庭用エアコンも、洗えばちゃんと変わる
- キャンピングカーについている家庭用エアコンは、家庭用と同じ手順で分解・高圧洗浄できる
- 9年間ノーメンテのエアコンを洗ったら、10分ほどの試運転で洗浄前より冷たい風が出た(オーナーさん談「今日来た時より確実に涼しい」、ただし劇的とまでは言えない)
- 費用の相場はダスキン・おそうじ本舗で1万5千円ほど、くらしのマーケットで1万円ほど。ただしキャンピングカーは断られることもある
- 車載でいちばん大事なのは養生。真下に寝具や家具があるので、汚水を1滴も落とさない
- 冷えないときは「洗浄→ガス点検→買い替え」の順番で考える
私も、キャンピングカーのエアコンを洗浄したのは今回が初めてでした。やってみて改めて感じたのは、キャンピングカーについていても中身は家庭用のエアコンなので、やっぱりメンテナンスは必要だということです。
夏のあいだ「効きが悪いな」と感じていた方は、来年の夏が来る前に一度見直してみてください。キャンピングカーのエアコン洗浄が気になる方は、XのDMかYouTubeのコメント欄からお気軽にどうぞ。
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